マンション管理組合法人化について
現在の日本のマンション事情というと高経年マンションが多く存在し、相当数のマンションが大規模修繕の時期に差し掛かっている状況と言えます。しかし、大規模修繕にかかる費用は多額のもので、毎月住民たちから徴収する修繕積立金では賄いきれず一時金として住民たちから費用を徴収し、なんとか大規模修繕を行っているのが現状ではないでしょうか。ですが、マンションの経年化に伴い住民の高齢化も進んでおり、一時金としての費用徴収も難しいこととなっているのが現在のマンション事情の大きな問題といえます。大規模修繕ができなければマンションは朽ち果てていき、いずれは廃墟のようになっていくでしょう。こうならないためにも、マンション管理組合の法人化を検討し、住民一同チームになってマンション問題に早期段階で取り組んでいくことが重要になっていきます。
マンション管理組合法人化のメリットについては下記に記載しますが、デメリットについてはそこまで大きなものはありません。あえて言うならば理事長の変更により管理組合法人の変更登記が必要となることとでしょうか。
(1)住民が運営に積極的となり意識向上につながる
管理組合を法人化することにより組織として安定性・継続性を確保でき、マンションの住民たちのチーム意識の向上につながります。法人化によって役員への責任感も増し、管理組合の活発化をはかることもできます。
(2)管理組合自身が不動産の登記名義人となれる
マンション管理組合は人や株式会社とは違いますので権利義務の主体となれないので、マンションが不動産を取得したとしても理事長などの個人名で登記するしかありません。理事長が登記名義となってしまうと、理事長の任期が来る度に名義変更登記が必要となり多額の登記費用がかかってしまうことになります。しかし、マンション管理組合を法人化すれば、マンション管理組合自身の名前で登記名義人となれますので、理事長を交代する度に名義変更登記をしなければならない問題を解決することができます。
(3)管理組合自身が銀行口座の名義人となれる
理事長名義での口座だと不正の温床になりかねず、金銭トラブルにつながる危険性があります。管理費用・修繕積立金について理事長による不正が発生している管理組合があるようですので、財産の明確化をはかるためにも法人化によってマンション管理組合名義での口座にするメリットは大きいです。また、理事長名義の口座のままで理事長が亡くなってしまった場合、理事長自身の相続財産であるか否かがわからなくなり、マンション管理組合までも相続争いに巻き込まれるケースも存在しておりますので、財産の明確化という観点から大きなメリットを持っています。
(4)管理費滞納の住民へ管理組合名義で請求・訴訟提起できる
マンション問題のひとつに管理費・修繕積立金の滞納があげられます。管理費・修繕積立金の滞納は、マンションを維持管理していく上で大きな支障をきたすこととなりますので、早期対策をとらなければなりません。早期対策とは、請求や和解・少額訴訟などが考えられますが、法人化していないと理事長名義で請求していかなければならないことから、理事長への精神的負担が大きく管理費滞納問題への取り組みが消極的になってしまいます。大抵の理事長は「管理費請求は面倒だから自分の任期が終わるまで放っておこう。」と考えるのが一般的ではないでしょうか。このような考えは誰しもが思うことであり、管理費滞納問題が放置されてしまうことになります。管理費の時効はたったの5年です。早期解決しないとどんどんマンションの運営に悪影響を及ぼすこととなるでしょう。
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