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相続における普通養子縁組と特別養子縁組の違い

相続人の範囲に影響を及ぼす2つの養子縁組制度の違い

相続で問題となる2つの養子縁組制度とは

親子関係は、必ずしも血のつながりを必要とするものではありません。
民法では、養子という制度が定められており、その中に「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。(民法第809条)」とあります。つまり、養子も、血のつながった子供と同様の権利を有することとなり、当然に、養親の相続において法定相続人として関係してくることとなります。
ただ、実の親との関係で相続人になるか否かは、養子縁組の中で分類される「普通養子縁組」か「特別養子縁組」かで結論が異なるので、注意が必要です。


【普通養子縁組とは】
普通養子縁組とは、一般的な養子縁組です。後記の特別養子縁組と区別するためにこう呼ばれています。普通養子縁組は、当事者同士の同意により戸籍を届け出ることによって行います。

普通養子縁組をするには、最低限、「親子関係を創設する意思」が必要となりますが、これは「元の親子関係を終わらせる」という意味は全くありません。あくまでも、「縁組によって養親側の家系を保持する」ことを目的とした側面をもつ制度であり、実親との親子関係は継続することになります。結果として、二重(またはそれ以上)の親子関係ができあがります。

養子の戸籍においても、養親と並んで実親の名前が記載されることになります。


【特別養子縁組とは】
特別養子縁組とは、非常に特別な状況においてのみ認められる縁組関係であり、家庭裁判所の審判によって行われます。

この制度は、特別養子縁組が認められるための一つの要件として「父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるとき(民法第817条)」とあるように、子供の福祉のためという側面が強いものです。

そのため、特別養子縁組は実親含め、従前までの親子関係を全て断ち切り、新たな親子関係を創設するという特徴を持ち、この点で普通養子縁組と異なります。

戸籍上も、実親の戸籍から養子を抜き出すことで、親子関係を切ります。

相続における養子の立場

この通り、普通養子縁組と特別養子縁組の一番の違いは、元々の親子関係が継続するか否かという点にあります。

実親との親子関係が続く普通養子縁組では、養子となった子であっても、実親の相続人となることができます。つまり、養親の相続人でもあり、実親の相続人でもあるということです。

一方、実親との親子関係が終了する特別養子縁組では、養子となった子は、実親の相続人となることはできません。

なお、これらはあくまでも「養子」についての話であり、普通養子縁組においても、養親と実親との関係はアカの他人のままですのでご注意ください。

養子が相続する場合の注意点

さて、ここまでは「実親の相続人となるかという」非常に簡単な話であり、あまり難しく考える必要はないのですが、養子縁組が関係する相続で※代襲相続が絡むと、少し話が複雑化します。

※代襲相続とは
代襲相続とは、相続人である子、または兄弟姉妹が、相続が開始した時点で既に死亡していたり、相続できない事情があったりするときに、その相続人の子が代わって相続人となることです。詳しくは別の記事をご参照ください。

すなわち、養親の相続において、養子がすでに亡くなっており、その養子に子供がいる場合、それが養子縁組前からいる子供なのか、養子縁組後にできた子なのかで、扱いが異なるのです。

冒頭にご紹介した条文(民法第809条)の通り、養子は「縁組の日から」養親の嫡出子の身分を取得します。この「縁組の日から」について、判例では養子縁組前に生まれていた子は、養親との間で法定血族関係を生じず、養親の直系卑属に当たらないとされています。つまり、養子縁組前に生まれていた子には代襲相続が認められないのです。

なお、これはあくまで養親の相続についての話です。実親の相続においては、普通養子縁組では通常の代襲相続となり、特別養子縁組では、そもそもの相続関係が認められないため、当然に代襲相続となりません。

まとめ

相続において、養子縁組という制度が相続対策として積極的に活用されることがあります。
例えば、「3000万円+600万円×法定相続人の数」の法定相続人の数を増やし、相続税の基礎控除枠を広げるといった具合です。一方で、血のつながりのない養子が相続関係してくることで、遺産分割協議がまとまりづらくなるなどのデメリットも考えられます。

養子縁組が関係する相続では、これらを踏まえた上で、一度専門家に相談してみることをおすすめします。

相続のことをもっと知りたい方はこちらへ ≫相続お役立ち情報総まとめQ&A



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