疎遠な相続人との遺産分割の進め方
会ったこともない相続人とどのようにして遺産分割を進めるか
相続において遺言がない場合、大抵の場合で遺産分割協議が必要になります。
どの遺産をどの相続人にどれだけ相続させるかの協議がまとまらないと、相続手続きを進めることができないからです。
その遺産分割協議は、相続人全員で行わなければ無効となります。
被相続人に前婚の子供や認知された婚外子が関係する場合、注意をしなければ深刻な紛争に発展してしまうこともあり、相続人が誰なのかを確定させる作業が非常に重要です。被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を細かく調べ上げ、相続人に漏れがないかチェックするのです。
この相続人を洗い出す作業の中で、全く見ず知らずの相続人がいることが判明する場合があります。
また、存在をそれとなく知っていたとしても、会ったことすらない相続人がいる場合もあります。
こういった場合、気の知れた身内のみで行うよりも困難な協議となることはご想像に難くないでしょう。
遺産分割協議をし終わった後に他に相続人がいたことが判明した場合でも、遺産分割協議をやり直さなければなりません。(相続が開始した後に死後認知によって新たに相続権を経た場合は、遺産分割協議をやり直す必要はなく、法定相続分にあたる価額のやりとりによって処理することができます。)
そもそも、関係が遠い相続人の場合、戸籍収集の段階から困難となる可能性すら考えられます。個人情報保護の観点から、取得を請求できる権利者が厳しく定められているためです。被相続人の戸籍だけで相続人が確定できる場合はまだ良いのですが、代襲相続などを含む複雑な相続関係の場合、ある一定のところで戸籍を追えなくなってしまい、相続人の確定すらおぼつかなくなることもあります。
そういった場合、司法書士や行政書士といった専門家に手続きを依頼するとよいでしょう。これらの資格者には職権で必要な情報を取得する「職務上請求」という権利が認められているため、業務に必要となる全ての戸籍や住民票を集めてくれます。
職務上請求については、こちらの記事が参考になると思います。
≫資格者による戸籍謄本・住民票の職権取得について
さて、戸籍で相続人を確定し終わった後、いざ遺産分割協議を行おうという段階では、疎遠な相続人に相続があった旨や遺産分割協議に参加して欲しい旨を連絡する必要がでてきます。
感情的にも手段的にも連絡の取りづらい状況であることが想定されますが、冒頭の通り、遺産分割協議は相続人全員で行わなければなりませんので、関係が疎遠だからと言ってわざと連絡しないようなことは絶対に避けましょう。
相手も正式な法定相続分をもつ相続人ですので、後々になって訴えられた際には、当初以上に面倒な状況になってしまいます。
この連絡するにあたり、相手方の連絡先が分からないときは、戸籍の附票や住民票を取得して現在の居住地を調べ、手紙を送ることを検討しましょう。
初動を間違えると、相手方が協力してくれずに手続きが暗礁に乗り上げてしまうこともあり、疎遠な相続人に連絡を入れる際は特に細心の注意を払うことが求められます。
専門家が内容証明などで連絡を入れることも十分考えられる場面ではありますが、司法書士や行政書士といった文字の入った手紙が急に届くと、驚いたり気を悪くしたりされる方もいらっしゃるので、あまりお勧めできる手段ではありません。
ご自身の言葉による丁寧な手紙を送るのが良いでしょう。
こうした段取りを経て、ようやく遺産分割協議に入ることができます。
疎遠といえども、立派な相続人です。各々の置かれた状況に感情的になり、関係を拗らせてしまうのは望ましくありません。遺産分割協議では、各相続人がお互いの情報を共有し、思いやりを持って具体的な分配の仕方を話し合うことが大切です。
なお、余談となりますが法定相続分については、嫡出子と認知された非嫡出子には相違がありません。半血の兄弟姉妹に関しては、被相続人と父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の1/2となります。ご参考までに。
相続のことをもっと知りたい方はこちらへ ≫相続お役立ち情報総まとめQ&A
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