数ある相続手続きの中でも特に面倒なものが、戸籍や住民票の取得・収集です。
戸籍や住民票を集めることで相続人の範囲を確定することは勿論のこと、銀行の預金関係の手続きや不動産の名義を移す手続きにも必要となるため、相続手続きを進めるにあたり避けては通れません。
相続で必要となる戸籍には、最新の情報が記載され現に効力を有する「現在戸籍」の他、「改製原戸籍謄本」「除籍謄本」といった種類があり、普段から触れる機会がない方にとっては、戸籍の読み方を含めて非常に扱いづらいものとなっています。
これらの収集は、戸籍がある各市区町村に、請求する権利を持つ相続関係人が請求することで行います。個人情報に関するものですので、原則として、無関係の人間が簡単に請求できるものではありません。
ただし、司法書士や行政書士といった一部の国家資格者に関しては、「職務上請求」という権利が認められており、業務に関係する範囲で、職権で戸籍等を取得することが可能となっています。これにより、相続業務を資格者に依頼した場合、面倒な取得・収集手続きまでも任せることができます。
相続に必要となる戸籍や住民票の取得において一番難しいことは、何を収集すれば良いかの判断です。
取得の方法や費用については、大抵の場合各自治体のHPに記載されていますし、郵送で行うこともできるので、特段不安に思う必要はありません。
一方、何の戸籍が必要となるかを判断するにあたっては、割と面倒な作業を経なければなりません。
相続に必要となる戸籍は基本的に、
1.被相続人が亡くなったことを証明する
2.被相続人の相続人が誰か証明する
3.相続人が生きていることを証明する
ために必要となります。
この考え方を軸に、各状況に応じて誰のどの戸籍が必要となるか判断をしていきます。
大抵の場合、1、2について被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍、3について相続人の最新の戸籍を集めることになります。
代襲相続などが起こっている場合、この応用で、被代襲者の出生から死亡までの戸籍によって代襲する人や、代襲相続が起こっていることを証明することになります。
住民票については、
・登記の際に名義人となるものの住所を証明する
・被相続人の最後の住所を証明する(例えば、戸籍(住所は記載されていない)と登記簿(住所が記載されている)の人物の同一性を証明する)
のために必要となることが多いです。
ご覧いただいたように、必要となる戸籍は一つに限りません。
特に被相続人の籍が何回も移されている場合、これらを一つ一つ集め、その都度何が足りないか判断し、新たな自治体に請求していくことになります。
そもそも、戸籍制度が始まったのが明治時代までさかのぼるため、相当古く読みづらい戸籍を解読しなければならない場面もあり、インターネットが発達し、自治体の人も丁寧に教えてくれる時代になったとは云え、なかなかに面倒な作業であることがお分かりいただけるかと思います。
そこで便利なのが、資格者による職務上請求です。
冒頭で述べたように、戸籍等を請求する権利がある者が限られる中で、司法書士や行政書士は、自身の名義でこれらを取得することができるのです。
これらの者は普段から戸籍を読み慣れていますし、特に不自由なく、手続きに必要となる書類を集めてくれます。
ただし、資格者についても無条件で戸籍等を集めることができるわけではありません。何らかの業務を進めるための前提として、職務上の範囲でなければ取得することができないのです。
例えば、司法書士であれば登記業務や相続放棄申述に必要となる範囲で、行政書士であれば相続関係説明図作成や遺産分割協議書作成に必要となる範囲でしか、職務上請求することは認められていません。
資格者が権利を濫用してしまわないようにするために当然の規制ともいえますが、戸籍の収集のみを依頼することができないということに注意する必要があります。
相続税の申告など、期限が存在する他の相続手続きとの関係もあり、戸籍の収集には迅速さが求められます。相続人が確定しないことには、遺産分割協議も行うことができません。相続が発生し、戸籍の収集にお困りの際には、是非専門家にご相談ください。
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