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期限がある相続手続きまとめ絶対に知っておきたい相続の知識/期限付きの相続手続き

期限付きの相続手続きと、期限が存在しない相続手続きがある

いざ相続が発生してみると、残された家族は様々な煩雑な手続きに直面することになります。手続き先についても、行政機関や金融機関など様々であり、提出する書類の種類も多いです。

さらに、その手続きの中には期限が存在するものがあり、期限が存在する手続きをその期限内にきちんと行わなければ、不利益を被ってしまう恐れがあります。

これらを葬儀や法要等と並行して行っていくのは非常に骨が折れることであり、きちんとスケジュールを立てて進めていくことが大切になります。

相続の性質上、前もって準備するということは難しいものですが、相続の全体像をある程度頭に入れておくだけでも、いざというときに役立ちます。

本記事では、期限が存在する手続きに焦点を当て、解説していきたいと思います。

期限は大まかに、「7日以内」「3か月以内」「4か月以内」「10か月以内」に分けられます。なお、日付の起算点がそれぞれの手続きごとに少し異なりますのでご注意ください。

「7日以内」にしなければいけない相続手続き

◇死亡届
相続が開始して最初に行う手続きは死亡届の提出です。これは法律によって義務付けられており、死亡を知った日から7日以内に必ず行わなければなりません。義務があるものとして「同居の親族、その他の同居者、家主、地主又は家屋若しくは土地の管理」が挙げられますが、同居していない親族や後見人など、ここに挙げた人物以外でも行うことができます(戸籍法第87条)。提出先は、死亡者の死亡地・本籍地にある市役所、区役所または町村役場です。また、届出人の所在地を管轄する役所で提出することも可能です。
死亡届を提出する際は、その一部に診断書として、医師による記入が必要となりますので注意しましょう。
この死亡届の提出の後に、火葬や葬儀手続きに移っていくことになります。

◇その他
義務ではありませんが、この後の手続きに向けて、「遺言書の有無の調査」や「相続財産の調査」も早い時期から並行して行いましょう。
また、遺族年金や埋葬料などをもらう手続きも、なるべく早く行う方がよいです。葬儀代や法要代にまとまった支出が必要になり、日常生活に支障が出る可能性があります。

「3か月以内」にしなければいけない相続手続き

◇相続の承認、限定承認、相続放棄
自己の為に相続があった日から3か月以内に、相続をするか否かの選択をしななければなりません。相続人には、「承認」「限定承認」「相続放棄」という3つの選択肢があり、期間内にこれらを選択しない場合、承認したものとみなされます。
相続を「承認」するということは、被相続人が持っていたプラスの財産だけではなく、マイナスの財産をも受け継いでしまうということです。
マイナスの財産の方が多い場合は、その後相続人自身の財産で弁済しなければなりません。

反対に、「相続放棄」をした場合、最初から相続人で無かったものとされるため、プラスであろうとマイナスであろうと、財産も受け継ぐことはありません。

残り一つの「限定承認」とは、プラスの財産によってマイナスの財産を弁済し、弁済するに足りない場合は相続人自身の財産をもって弁済する義務は生まれないが、余りがあればそれを相続することができるという方法です。
いずれに選択をするにせよ、相続財産の額が問題となってきますので、前提として相続財産について調査をする必要があり、その上で、3か月という期限を守らなければなりません。

この3つの選択は、その後の相続人の権利関係を左右する、相続の手続きの中でも最も重要な部分と言えますが、相続開始直後のドタバタを考慮すると、3か月という期間は思っている以上に短く感じられるでしょう。

なお、承認する場合は特段の行為を要しませんが、限定承認または相続放棄をする場合には、家庭裁判所への申述が必要となります。

「4か月以内」にしなければいけない相続手続き

◇準確定申告
相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、準確定申告を行わなければなりません。準確定申告とは、死亡した人についてする確定申告のことです。
通常の確定申告は、毎年11日から1231日までの所得を翌年の216日から315日までの間に本人が行いますが、準確定申告は、11日から死亡した日までの所得を、上記の期限内に相続人が行わなければなりません。

申告先は、被相続人の死亡当時の住所地を管轄する税務署です。申請する相続人の住所地ではありませんのでご注意ください。

「10か月以内」にしなければいけない相続手続き

◇遺産分割協議
遺産分割協議自体には期限などは設けられていないものの、次の相続税の申告の前提として、10か月以内に済ませておくことが望ましいといえます。
(※遺産分割が済んでいない場合、特例等を適用しない形で申告しなければならず、一時的に税負担が増す可能性があります。)

◇相続税の申告
相続税とは、被相続人の財産を相続や遺贈によって取得した人にかかる税金です。
相続税は、全てのケースにおいてかかるわけではなく、「3000万円+600万円×相続人の数」で算出される基礎控除額を、相続される財産が上回った場合に課税されるものです。
この相続税が課税される場合、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告を行う必要があります。
申告先は、準確定申告と同様に、被相続人の死亡当時の住所地を管轄する税務署です。(※相続税に関する各種特例を適用後、納税額が基礎控除を下回る場合でも、申告自体は必要となります。)

相続税の具体額については、各相続人の相続分によって案分されるため、この期間内に遺産分割協議などの手続きを済ませておかなければならず、10か月は意外と早く過ぎてしまいます。これだけの間に申告の要否を判断したり、申告書を書いたりするのは容易ではありません。余裕がないときは、アポイントを取ったうえで、税務署に相談しに行くのもよいでしょう。
特に税に関する手続きについては、期限を超えてしまったことで延滞税といった罰則が課される可能性があるので、スケジュールの調整が大切になります。

「1年以内」にしなければいけない相続手続き

◇遺留分減殺請求
これは、必ずしも行わなければならない手続きではありませんが、仮に遺留分減殺請求権を行使する場合は、相続により遺留分が害されていることを知ってから1年(又は相続から10年)以内に行わなければなりません。
遺留分とは、一定の相続人(兄弟姉妹である相続人とその代襲相続人以外)に認められている相続分の保障であり、これを侵害された場合、相続開始後に遺留分減殺請求をすることで、これを取り戻すことができます。あくまで行使することが必要であり、遺留分を侵害する相続が当然に無効とはならないので注意をしましょう。
この行使期間が、上記の通りとなっています。


まとめ

以上が、相続手続きに関する期限となっています。
これらの流れの中で、戸籍や印鑑証明書を集めたり、その他都度必要となる手続きを行わなければならないことを考慮すると、相続の手続きは非常に煩雑で面倒なものと言えます。

少しでもスムーズな相続を実現するために、あらかじめ相続財産を洗い出しておいたり、遺言を用意してもらったりする方法が考えられますが、それでも普段なれない手続きには時間を要するものです。

これらの手続きを中途半端に投げ出してしまう可能性があるのであれば、相続が開始した初めの段階から専門家に相談するのも一つの手かもしれません。


相続のことをもっと知りたい方はこちらへ ≫相続お役立ち情報総まとめQ&A

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司法書士、簡易訴訟代理権認定、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅建士、他多数
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