つい最近まで賃貸アパートや賃貸マンションなど、いわゆる収益不動産への投資が盛んに行われていました。
これは、現金をそのまま相続するよりアパートや、マンションなどの収益不動産に替えて相続した方が、相続税対策になるからです。
不動産の場合は経年により劣化し相続までに財産的価値が目減りしますが、現金の場合は、評価額が変化することがないからと言えます。
また、現金と同様に更地の場合も、そのまま更地として相続してしまえば、土地の上に建物がある場合より土地の価値があがり、逆にアパートやマンションを建てた場合は土地の価値が下がり、相続税対策になることがあります。
このアパートやマンションなどの収益不動産の相続と自宅不動産の相続には違いがあります、今回は収益不動産の相続についての特徴を簡単に解説していきたいと思います。
よほど大家さんと仲良くしているような賃借人でない限り、賃借人は大家が死亡した事実すら知る由もないので、相続の事実(もしくは大家が変更になった事実)を伝える必要があります。
あえて亡くなったことまで賃借人に伝えるべきかどうかはわかりませんが、少なからず新しい大家が誰であるかは伝えなければいけません。
連絡するタイミングについては、できれば早い方がいいかもしれませんが、遺産分割協議等の兼ね合いもありますので、時期を見て連絡をすればいいように思います。
ただし、被相続人の預貯金口座については、相続手続きを進める中で金融機関に凍結されてしまいますので、家賃の振込ができなくなってしまいます。
つまり、少なくとも銀行の相続手続きを開始する間までには、別の預金口座を用意するなどして対応をされた方がいいと思います。
相続が開始すると被相続人が有していた不動産は相続人に相続されることになります。遺産分割協議が行われれば、その遺産分割協議によって所有者となった相続人が不動産を相続することになります。
遺産分割協議において協議される相続財産の内容は相続開始時の財産を対象として行われます。自宅不動産であれば相続開始時から遺産分割協議までの間に期間があっても特に変化はありません。
しかし、収益不動産であるアパートやマンションの場合は、相続開始後から遺産分割協議までの間に期間があれば、その期間中も当然に賃料は発生しつづけます。
遺産分割の対象となる財産は相続開始日の財産に限られますので、相続開始後に発生した収益不動産の賃料については遺産分割協議の対象にはならないことになります。すなわち収益不動産の相続開始後の賃料は遺産分割協議において協議する内容ではありません。よって遺産分割協議の影響は受けないことになります。
では、相続開始後に発生した収益不動産の賃料は誰が取得することになるのか。
民法に、このことについての定めはなく最高裁の判決(最判平成17年9月8日)になりますが、相続開始後に発生した収益不動産の賃料については、相続財産ではなく、相続財産とは別個の財産として扱われ、遺産分割の対象ではなく、遺産分割で収益不動産の所有者が誰になろうとも、相続開始後から遺産分割協議までの賃料については法定相続分通りに相続人が取得するとされています。
自宅不動産については、多くの場合団体信用生命保険に加入しており、仮に被相続人が住宅ローンを完済せずに死亡したとしても団体信用生命保険により残りのローンは無くなります。
しかし、収益不動産の場合は、団体信用生命保険に加入していないケースが自宅不動産より多く、被相続人が住宅ローンを完済せずに死亡してしまうと、住宅ローンも債務(負債)として相続することになります。
債務に関しては、遺産分割の対象ではなく相続人が法定相続分通りに相続します。仮に収益不動産を相続しない相続人がいれば不動産を相続しないにも関わらず、収益不動産の住宅ローンを負うことになります。
そのような事態を避ける為には、当該住宅ローンを組んでいる金融機関に、債務者を、収益不動産を相続する相続人単独に変更してくれるよう、お願いする必要があります。
収益不動産を相続し、今後所有していく相続人が債務者と同一となれば金融機関側も承諾してくれる可能性が高いです。
金融機関の承諾が得られれば、当該収益不動産に付着している抵当権の登記の内容の変更の登記も行えます。
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