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同時死亡の場合の相続関係交通事故や災害などで相続関係者が同時に死亡してしまったら

同時死亡がなぜ相続関係に大きな影響を及ぼすのか

相続は、被相続人の死亡と同時に開始するため、その時点の相続人が、被相続人に属した一切の権利義務を相続することになります。
つまり、相続の開始時に相続人がその権利を承継できる「権利能力者」として生存していなければならないことが原則となります(同時存在の原則)。

しかしながら、実際問題としては、交通事故によって家族が複数死亡してしまった場合など、それぞれが同時に死亡してしまったり、死亡の前後関係が不明となってしまったりすることによって、誰が相続人となるかがはっきりとしないケースが考えられます。このような場合、どのような相続関係となるのでしょうか。
本記事では、同時死亡の場合の相続関係について解説していきます。

被相続人と、その相続関係人の死亡の先後関係の重要性

冒頭で述べた原則のこともあり、一つの相続事件の中において、被相続人以外に死亡した人物が関係してくる場合には相続関係が少し複雑になります。
誰が相続人になるかということを考える際にそれは特に問題となり、それをはっきりさせるために相続関係者の死亡日時とその先後関係が非常に重要となります。

すなわち、被相続人より前に死亡した人物があれば代襲相続、被相続人の後に死亡した人物があれば数次相続を考える必要があり、それぞれで相続関係が変わってくるのです。

代襲相続は、相続人である子や兄弟姉妹が、相続の開始時点で既に死亡していたり、相続できない事情があったりするときに、その相続人が本来受け取れるはずであった相続分を、相続人の子が代わって受け取る(つまり代わりに相続人となる)制度です。
例えば、親A、Aの子B、Aの孫Cという相続関係において、Aの相続が発生した際に既にBが亡くなってしまっていると、孫CがBの代わりにAの相続人になります。

対する数次相続は、相続が開始した後に相続人が死亡してしまうことで、その相続人についても相続が発生することです。
上と同様の相続関係で例えると、Aの相続が発生し、その手続きをしている最中にBの相続も発生してしまい相続事件が二重になってしまっている状況を指します。

これらは被相続人以外の人物(B)の死亡が影響してくるという点で共通はしていますが、法定相続人に変化がある代襲相続と順々に相続が起こっている(つまり本来の相続関係で処理される)数次相続は、似て非なるものです。

どちらの相続関係となるかがAとBの死亡日時の前後によって左右されるため、相続関係を確定させるために、被相続人と、その相続関係人の死亡の先後関係が非常に重要な要素となってくるのです。

同時死亡の場合の相続関係

ここで、ようやくですが本題に入ります。被相続人とその相続関係者が同時に死亡してしまった場合の処理についてです。

そもそもまず、同時に死亡するとはどのようなことなのでしょうか。
例えば、交通事故により複数人が死亡した場合や津波のような災害により死亡した場合でも、コンマ何秒の世界まで考えれば、同時に死亡することなどは考えられませんし、すべての死亡の先後関係をはっきりさせることなど不可能ではないでしょうか。

そこで、民法は以下の条文を置いています。

【民法第32条の2:数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。】

これを、「同時死亡の推定」といいます。
つまり、死亡の時期の先後関係が不明な場合は、同時に死亡したものとして扱っていいよということを言っています。これにより、交通事故の様なケースでも相続関係の解決を図ることができるのです。

さて、こうして相続関係者が同時死亡と推定された結果、どのような相続関係となるのでしょうか。
ここで重要となるのが、冒頭の「相続人は相続開始時に生存していなければならない」という同時存在の原則です。
すなわち、「同時に死亡している=相続開始時に生存していない」と考えることで、その同時死亡している人物同士については、相続権を認めることができないのです。
これはつまり、同時死亡では数次相続とならないことにつながります。

具体的な例で考えてみましょう。
先ほどの親A、Aの子B、Aの孫Cという関係で、AとBが交通事故により同時に死亡したと推定されるケースです。
この時、Bは本来であればAの法定相続人ですが、Aの死亡時に生存していないため、Aの相続人となることができません。これにより代襲相続が発生し、CがAの相続人となることとなります。
Bの相続については、もともと直系尊属であるAは第一順位の相続人ではないため問題となることもなくCが順当に相続人となることとなります。

互いに相続権が認められるような関係、例えば夫婦の同時死亡についても同様に考えることができます。
夫Dと妻Eの同時死亡があった場合、DとEは本来であれば互いの法定相続人ですが、同時死亡によって、相互に相続人となることができません。
DE間に子供がいる場合は子供が全ての遺産を相続することとなります。
子供がいなければ、Dの遺産はDの直系尊属→兄弟姉妹の順で、Eの遺産も同様に直系尊属→兄弟姉妹の順で順位が移っていき、一方の財産がもう一方の家系に移ることがありません。
仮にDが先に死亡していたとするならば、EにもDの相続について半分の相続権が認められ、その後、Eの死亡によりその財産がE側の家系に渡っていくことを考えると、同時死亡の推定は利害関係を大きく左右する問題と言えます。
(少し細かい話となりますが、「推定する」規定については、これと反対の事実を証明することによって覆すことが可能です。同時死亡の条文も「推定」なので、推定された時期と異なる時期に死亡したことを証明されることで、上記の結論が覆る可能性があります。)

同時死亡の場合の相続関係まとめ

・相続人は相続の開始時に生存していなければならない(同時存在の原則)。
・同時死亡の場合、相続開始時に生存しておらず、相続権が認められない。
・死亡の時期の先後関係が不明な場合は、同時に死亡したものと推定される。


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