前回の記事(≫ 登記簿謄本の取り方・費用)に続いて、今度は不動産の登記簿謄本の読み方について実践的な解説をしていきます。普段見ることのない登記簿謄本は内容がわかりにくく中々馴染むことができないかもしれませんが、慣れればそこまで難しいものではありません。要はポイントをおさえて必要な部分を読み取ればいいのです。
ここではなるべく優しく噛み砕いて、登記簿を読む取るために必要な最小のことだけを解説してきます。
まずは登記簿謄本の見本を見てみましょう。
こちらが登記簿謄本の全体です。
上から①表題部、②権利部(甲区)、③権利部(乙区)、④共同担保目録といった順に枠があるかと思いますが、この4つの枠の中だけを見れば大丈夫です。順番に見ていきましょう。
こちらは建物の謄本ですが、「所在」は建物がたっている所在地、「家屋番号」は建物を特定する番号のようなものです。表題部は、不動産を特定したり物理的な大きさや構造などを記載するような場所になっております。遺言書に記載したり登記申請をするときにはこの表題部を一字一句間違えずに記載します。
甲区は所有権に関する事項が登記され、乙区には所有権以外の登記がされます。深く追求すれば難しいお話になってしまいますので皆さんが知りたい『持ち主は今誰か』は甲区、『担保になっているか』は乙区を見ればわかります。上記のとおり、甲区には平成20年から何にも登記が入っていないので現在は法務五郎さんが所有者ということになります。また、乙区には抵当権がついたままですので、法務五郎さんは南北銀行からこの不動産を担保に4000万円を借りたということがわかります。なお、これは現在の残債が4000万円ということではありませんので、平成20年から毎月支払っていれば当然現在の残債は4000万円よりも減っているはずです。
これは共同担保目録といって乙区の抵当権と連動して考えるものです。この不動産以外にも共同して担保関係にある不動産がここに書かれますので、見ると101番の土地にもあわせて抵当権がくっついているということがわかります。特に使えなそうなものですが実務上はこれがとても役立ちます。なぜなら、建物の登記簿を取っただけで土地の地番がひと目でわかるからです。司法書士や行政書士のような専門家は実務でこの共同担保目録を使って調査に使ったりします。