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HOME ≫ 遺産承継業務 ≫ 嫡出子と非嫡出子の法定相続分について

嫡出子と非嫡出子の法定相続分について嫡出子と非嫡出子の法定相続分の取り扱い

嫡出子と非嫡出子の相続

相続において、被相続人に子供がいる場合は、必ず被相続人の子供は相続人になります。
そして子供同士の相続分については同一で、例えば子供だけが相続人の場合は、子供が2人なら相続財産を2分の1ずつ相続し、3人なら3分の1ずつ、4人なら4分の1ずつ相続します。
これは、配偶者がいる場合も同様で、子供と配偶者の相続分が違うことはありますが、子供同士の相続分については必ず同一になります。

しかし、現在は同一である子供同士の相続分ですが、過去には子供同士の相続分に違いが生じる場合がありました。 では、どのような場合に相続分の違いが生じていたのか。

嫡出子と非嫡出子とは

相続分の違いついて説明する前に、まず嫡出子と非嫡出子の説明が必要です。


 嫡出子とは・・・婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子供

非嫡出子とは・・・婚姻関係にない夫婦の間に生まれた子供

ここで言う、婚姻関係とは法律上の婚姻関係を言い、内縁のような関係は含みません。
両親が婚姻しているか否かで、嫡出子か非嫡出子かの違いが生じます。
嫡出子か非嫡出子かは、戸籍で確認することができます。

夫婦は婚姻することにより、夫または妻のどちらかが筆頭者になり、筆頭者にならない者は筆頭者になった者の戸籍に入籍します。婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子供は当該戸籍内に出生を原因として入籍します。

仮に夫婦が婚姻関係にない場合は、夫婦は同じ戸籍内に入籍せず、その場合は生まれてきた子供も母親が籍をおいている戸籍内に入籍し(多くは母親の両親戸籍)、父親とは別の戸籍となります。出生時(*1)に両親と同じ戸籍内に籍があれば、嫡出子、そうでなければ非嫡出子となります。

なお、子供が出生した当時に夫婦に婚姻関係がなくても、出生後に婚姻した場合は、その子供は嫡出子となります(但し、父親の認知が必要)。これを準正といいます。また、婚姻中に認知した場合も、その子供は嫡出子となります。
準正については、こちらの記事が参考になると思います。≫非嫡出子が嫡出子の身分を取得する準正とは

*1 出生時以降に離婚などを原因として両親の戸籍から除籍になることもあるため、出生時となっています。


嫡出子と非嫡出子の法定相続分の法改正

現在は改正により削除されましたが、過去にこのような規定が民法には存在しました。

民法第900条(改正前)

同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

④ 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

*①号~③号については省略してあります

民法第900条(改正後)

同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

④ 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

*①号~③号については省略してあります

平成25年12月5日の改正に民法第900条の一部が改正されました。改正の内容は、下線部の削除になります。改正以前は、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」でした。
例えば、相続人が子供2人で一方が嫡出子で、もう一方が非嫡出子の場合は、嫡出子である者は相続分3分の2、嫡出子でない非嫡出子は相続分3分の1となり、本来であれば、相続分2分の1ずつであるものが嫡出子か非嫡出子かで、相続分に大きな違いが生じました。

民法第900条の一部改正の経緯

民法第900条の嫡出子と非嫡出子の取り扱いの違いに関して、最高裁判所は平成25年9月4日に違憲であると決定しました。
違憲とは憲法に反することをいい、憲法に反する法律はその効果が無効になります。つまり、最高裁により民法第900条の嫡出子、非嫡出子の部分の取り扱いに関し、違憲の決定がなされ、その結果下線部の条文が無効になり、嫡出子と非嫡出子の取り扱いが平等になりました。
この違憲の決定に合わせる形で民法は一部改正(一部削除)され、条文上も嫡出子と非嫡出子の相続分の違いは是正され、相続分は同一となりました。

但し、嫡出子と非嫡出子が平等に扱われるのは平成13年7月1日以降に発生した相続に限られ、平成13年6月30日以前に発生した相続には違憲の効果はありません。また、平成13年7月1日以降(平成25年12月5日まで)に発生した相続だとしても、既に遺産分割が終了している場合は、違憲の効果は生じません。あくまで未確定の相続に限られます。

なお、平成25年12月5日以降に関しては、民法第900条改正後になるので、遺産分割の終了に関係なく嫡出子と非嫡出子の相続分は同じです。



相続のことをもっと知りたい方はこちらへ ≫相続お役立ち情報総まとめQ&A

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