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相続税の小規模宅地等の特例相続税で非常に使える小規模宅地等の特例制度について解説

小規模宅地等の特例についての制度を知ろう

 年々相続の件数は増加しており、今後更に増加していき数十年の間は高止まりしたままになると思われます。相続の件数が増えれば、相続の問題も増えていきます。
 相続問題での相談では、相続の承認、放棄などの相続手続きの悩み、または相続財産の分割方法で、相続人同士で揉めないようにするにはどうしたらよいのか、遺産分割協議はどう行えば良いかなどの相続人間の問題、他にも相続財産の名義変更の方法や必要書類は何が必要なのかなどの相続財産の移転の問題など多岐にわたります。これら様々な相続問題の中でも相続人からの相談で一番多い相続の問題は相続税についてです。そんな相続税の相談内容で多いのは、自分の相続には相続税が発生するのか、相続税が掛からないようにするのに何か良い方法はないかなどです。

 相続税については、様々な特例や控除が存在し、その活用の仕方によっては相続税が安くできたり、又は相続税が掛からないといった結果になる場合もあります。今回は、様々な控除や特例の中で、「小規模宅地等の特例」という制度について解説していきたいと思います。小規模宅地等の特例は一般的な相続財産の相続においては、かなり有用な制度と言えますので参考にしてみるのも良いと思います。

小規模宅地等の特例とはどういった制度なのか

 小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たすと相続財産の中で当該要件を満たした不動産について、相続税における評価の額が大幅に減額されることを言います。簡単に解説すると、相続税の計算において一定の要件を満たせば、本来の評価額より大幅に減額され、その結果相続税が課されない可能性もあるということです。

では小規模宅地等の特例の要件、内容はどのようなものか。

<小規模宅地等の特例の対象相続財産>
 まず、この特例(減額)を受けることができる相続財産は宅地に限ります。当たり前ですが、預金や株券などの宅地ではない相続財産では、この特例を受ける事は出来ません。
 そして相続財産の宅地の中でも、事業用の宅地、居住用の宅地に限られます。また、被相続人が実際に居住用、事業用に使用している宅地、または被相続人と同一の生計親族が使用している事業用、居住用宅地に限られます。つまり被相続人が所有しているが被相続人が実際に居住用、事業用に使用していない宅地は特例を受けることはできません(別荘等)。
 また、被相続人の所有する宅地でかつ親族がその宅地を居住用、事業用に使用していたとしても、その親族が被相続人と生計を一にしてなかった場合は、この特例を受けることは出来ません。この特例を受けるためには被相続人本人が居住用、事業用に使用している宅地または、居住用、事業用に使用している宅地を被相続人と生計を一にしている親族が使用している場合に限られます。

 この生計を一にするとは、同居している場合や別居はしているもの生活費が共通だったりすることを言います。

<小規模宅地等の特例の対象人物>
・事業用の宅地を相続する場合は、被相続人の事業を承継した親族(遺贈を含む)に限ります。事業を承継してない場合は特例を受けることは出来ません。また、当該宅地を継続して使用していく必要があります。売却をする場合は特例を受けることは出来ません。

・居住用の不動産の場合は、被相続人の配偶者であるか、被相続人と生計を一にする、同居していた親族(遺贈を含む)に限られます。同居していない親族は特例の対象外になります。つまり、被相続人の配偶者の場合は同居している必要はありません。また被相続人の配偶者の場合は、その宅地を継続して使用していく必要はなく、売却しても特例は受けられます。同居の親族の場合は継続使用が要件となり売却は出来ません。

・被相続人が居住していた宅地でかつ、その宅地に被相続人と同居している親族がいない場合は、同居していない親族にも特例の適用が認められます。ただし、この場合はその親族に持ち家が無い場合に限られます。当該親族、又はその配偶者が持ち家を所有している場合は、特例は認められません。当然この場合も継続使用が要件となります。

相続前の使用方法 当該宅地の取得者 継続利用の有無

事業用宅地
事業を承継する親族 継続する必要あり

 

 

居住用宅地

 

・被相続人の配偶者

・同居、生計を一にする親族

・被相続人の配偶者の場合は継続利用する必要なし

・同居、生計を一にした親族は継続利用する必要あり

居住用宅地

同居、生計を一にしていない親族でかつ同居、生計を一にする親族がいない場合

 継続する必要あり

 

小規模宅地等の特例を使った場合の減額割合まとめ

 特例を受ける事が出来る範囲(面積)は税制改正により変更になっており、平成26年12月31日までの相続の場合は上の表の適用となり、平成27年1月1日以降の相続に関しては下の表の適用となります。

[平成26年12月31日までの表]

相続開始の直前における宅地等の利用区分

要件

限度面積

減額される割合

被相続人等の事業の用に供されていた宅地等

貸付事業以外の事業用の宅地等

特定事業用宅地等に該当する宅地等

400㎡

80

貸付事業用の宅地等

一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く)用の宅地等

特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等

400

80

貸付事業用宅地等に該当する宅地等

200

50

一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等

貸付事業用宅地等に該当する宅地等

200

50

被相続人等の貸付事業用の宅地等

貸付事業用宅地等に該当する宅地等

200

50

被相続人等の居住の用に供されていた宅地等

特定居住用宅地等に該当する宅地等

240

80

[平成27年1月1日以降の表]

相続開始の直前における宅地等の利用区分

要件

限度面積

減額される割合

被相続人等の事業の用に供されていた宅地等

貸付事業以外の事業用の宅地等

特定事業用宅地等に該当する宅地等

400

80

貸付事業用の宅地等

一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く)用の宅地等

特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等

400

80

貸付事業用宅地等に該当する宅地等

200

50

一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等

貸付事業用宅地等に該当する宅地等

200

50

被相続人等の貸付事業用の宅地等

貸付事業用宅地等に該当する宅地等

200

50

被相続人等の居住の用に供されていた宅地等

特定居住用宅地等に該当する宅地等

330

80

※当該表は国税局ホームページの抜粋となります。

 例えば、被相続人の同居している親族が特例を受けるとすると、330㎡まで減額制度を適用でき80%減額されます。例えば2億円の居住用宅地を相続した場合は、1億6000万円減額され4000万円の宅地を相続したものとされます。これほどの減額を受ければ一般的な家庭の相続であれば相続税が課されなくなる場合がほとんどではないでしょか。


なぜこの制度ではこれだけの優遇が受けられるのか。

 小規模宅地等の特例の要件でもある同居の有無や継続使用の有無、事業使用継続の有無などにあるように、実際に当該宅地を使用している相続人の場合生活がかかっている場合が多く、相続税を減額なしで課してしまうと相続税が払えず、生活の基盤である居住用不動産、事業用不動産を失う恐れがあります。加えて昨今、都内や横浜などは地価の上昇が起こり一般的な家庭でも、自宅の土地の価格が上昇してしまい高額な相続税が課される場合が増加していますので、そのような不合理な事態にならないよう特例が認められています。
 相続税の控除、特例には他にも様々な制度がありますので、相続税がかかってしまいそうな場合や、高額な相続税をどうにかしたいと言った場合は相続の専門家に相談することをお勧めします。

相続税のことをもっと知りたい方はこちらへ ≫相続お役立ち情報総まとめQ&A

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