相続手続きの第一歩は戸籍謄本を集めることです。戸籍謄本は相続手続きを進めていく上で様々な場面で提示を求められます。銀行や信託会社のような金融機関から法務局・税務署といった役所でも戸籍謄本が必要となります。そして、全ての機関が共通して被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本の提示を求めてくることでしょう(戸籍の集め方についてはこちらの記事が参考になります≫出生から死亡までの戸籍の集め方)。
しかし、戸籍を集めるといってもなかなか簡単にはいきません。現在の横書きの戸籍であれば問題なく取得できるでしょうが、それ以前の戸籍はどうやって集めればいいのか、大正や明治といった古い時代の戸籍はどうやって取得するのか、そもそもどの範囲までの戸籍を集めればいいのかがわからないなど、実際に戸籍集めをはじめてみると手続きが止まってしまうことが多々出てくると思います。近くの役所だったら窓口の人にその場で聞けば教えてくれるかもしれませんが、遠方の他県の戸籍の場合にはそうはいきません。
「亡くなった人の銀行口座からお金を引き出したいが戸籍が必要と言われてしまった」
「役所に何度も足を運んでも戸籍が揃わず困っている」
「戸籍のどこを見ればいいのか、次の戸籍がどこに請求していいのかもわからない」
「昔の戸籍を追っかけると町村合併により消滅した役所が出てきてしまった」
「遠方の役所への戸籍の請求方法がわからない」
「戦争によって焼失した戸籍がでてきてしまった」
「そもそも相続関係が把握できず専門の方に相続の相談をしたい」
相続手続きに必要な戸籍謄本は現行の戸籍謄本だけ取得すればいいのではなく、被相続人の出生から死亡までの戸籍(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍など)を一連して途切れることなく揃えていかなければなりません。実際にやってみればわかりますが、慣れていないと戸籍の読み方だけで一苦労することでしょう。読み方がわからなければ次の戸籍を取得することもできませんし、間違えて関係のない戸籍謄本を取得することにもなりかねません。「戸籍謄本を取るくらい簡単でしょう?」なんてお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、相続手続きに関する戸籍を集めるのは相当の労力と時間がかかるものです。
→ → ・・・何枚必要?
上記の例でいえば、順次遡って戸籍を集めていくと合計7通となります。「うちの戸籍はそんな枚数いかないよ・・・」と考えられる方も多くいらっしゃるかもしれませんが、これくらいの戸籍の枚数はごくごく一般的なもので決して多い枚数ではありません。
古い戸籍の読み方についてはこちらのページが参考になると思います。
≫除籍謄本の読み方と見本
≫改製原戸籍の読み方と見本
戸籍集めで大変なのは戸籍の種類が多いだけではありません。戸籍は、本籍地がある役所でしか取得することができませんので平日の昼間の時間に窓口まで直接出向くか、郵送での戸籍請求するしかありません。遠方の戸籍の場合については、直接行くわけにはいきませんので郵送請求の方法をとるしかありませんが、役所ごとに異なる郵送請求の方法調べたり、費用を調べながら定額小為替を購入したりと、予想以上の時間が取られてしまうこととなります。何とか手間と時間をかけて、戸籍を集めて進めてみたものの、前述したようなわからないことが途中で出てきたり不備があったりして、手続きが途中でとまってしまう方も少なくないのが現実です。(戸籍の郵送請求の方法についてはこちらの記事が参考になるかと思います。≫遠方の戸籍謄本の郵送請求の方法)