一般的に不動産売買といえば、不動産仲介会社が買主と売主である第三者との間に入ってもらい不動産取引を完成することとなります。つまり、戸建てやマンション・新築や中古に関わらず不動産を「購入したい」「売りたい」と思った人は、迷わず不動産仲介会社に相談することとなるはずです。この点には異論はないでしょう。
しかし、それはあくまでも通常の売買での話であって親族間での取引については話が変わってきます。積極的にお客様の親族間売買を解決している当事務所では売買契約書についてだけでなく、売買で一番困る法務局の登記手続きについても当事務所の司法書士が一括してサポートすることが可能です。ここでは親族間(親子・夫婦・兄弟等)での不動産売買を当事務所にご依頼いただきた場合の流れについてご紹介していきます。
当事務所では、積極的に親族間売買のサポート業務を行っております。親族間での売主の「売りたい」、買主の「買いたい」という意思が合致したのなら、まずは下記の流れを見ていただき、お手続きの流れと注意すべき点をご確認ください。「①面談
→ ②契約内容の確定 → ③売買契約書案の確認 → ④売買契約締結 → ⑤完了」の流れで進んでいきます。
①面談(まずは当事務所でご面談。)
当事務所では、親族間売買のご相談を受け付けております。ご相談には売主と買主が一緒にご来店していただいても構いませんし、売主または買主のいずれかどちらかが単独で来られても問題ありません。
ご面談予約時(電話またはお問い合わせフォーム)に売買の対象物件のご住所を先にお知らせいただき、当事務所の方で権利関係と路線価等を事前確認してからご相談対応させていただきます。親族間で、ある程度の売買代金の金額を決めてから来ていただけるとスムーズです。
また、親族間売買で注意すべき点として、「売買の金額をいくらにするか」です。
親族間という関係であったとしても、著しく安い金額で不動産で売買をしてしまうと、その不動産の時価と支払った代金の差額に相当する金額を贈与したとみなされて(『みなし贈与』と言います。)、後々税務署から多額の贈与税の通知が来てしまうことがあります。
(みなし贈与についてはこちらの記事が参考になると思います。≫低額譲渡によるみなし贈与について)
このような『みなし贈与』にならないためにも、不動産会社に周辺の取引成立事例や敷地の形状などを考慮したきちんとした時価相場を出して取引をすべきです。
親族での売買になると他人間とは違い、なるべく安く安く取引しようという考えが双方に生まれるため金額設定が市場取引価格(相場)とかけ離れてしまうことが多くあります。相手のためを思って安い金額で取引をしたことで多額の贈与税を支払わせてしまうことになりかねないので売買代金の設定については十分注意すべきでしょう。価格の決め方については下記記事が参考になると思います。
≫個人間売買での売買価格の決め方について
②契約内容の確定(親族間で売買契約の諸条件・内容を決める。)
当事務所へご面談に来ていただいた際に、おおよその諸条件・売買契約内容についてアドバイスをさせていただきますので、一度お持ち帰りいただき、親族間で売買契約の内容をかためてもらいます(ご面談時に決めていただいても問題ありません)。
売買価格はどうするのか(①を参照)、瑕疵担保をつけるのか、手付金の定め、債務不履行の定めなど、一通りの条件を当事者間で確定させていただきますが、細かな部分については、おおよその一般的な定めをこちらからご提示しますので、『売買契約』といってもそこまで深く考える必要はありませんので、ご安心ください。
売買契約の内容が確定したら、当事務所の方へお知らせください。その内容で売買契約書(案)を作成し、ご提示します。
売買契約の流れが進む前提として買主の方に売買代金のお金をご用意していただくことになります。現金で買主が資金を用意することができるのであれば何らの問題も発生しませんが、親族間売買で融資利用するとなるとローンをどのように通すかが大きなハードルとなります。実際にやっていただければわかるかと思いますが、「親族間売買」というだけで住宅ローンの申込をする以前の段階で大多数の金融機関ではねられてしまうことが予想されます。特に大手であればあるほど金融機関は親族間売買をやりたがらない傾向があるようです。この問題については、司法書士や行政書士といった国家資格者だけに頼った親族間売買取引にしてしまうとかなり難航することとなるでしょうから仲介会社を通したほうが間違いないです。後述する重要事項説明書作成の問題があるので、融資を利用する場合には事実上仲介会社が必須となってきます。買主にご融資がある場合には当事務所のグループ会社が仲介手数料をお値引きしたうえで対応させていただきますので、ご安心ください。
③売買契約書案の確認(当事務所が作成した売買契約書(案)の確認。)
上記の②で決めていただいた内容で、当事務所が売買契約書(案)を作成し、ご提示します。ご提示の方法については、「メールに添付する方法」「FAXで送付する方法」の2つを採用しておりますので、どちらかをご選択いただきます。
当事務所の方で作成した売買契約書(案)を売主買主の双方に確認していただき、問題ない旨のご連絡をいただければ、『不動産売買契約書』として2冊製本し(売主と買主の分)、契約日に向けて準備をします。
親族なので売買契約書を作らないで名義変更だけしてほしいといったご相談がたまにありますが、親族間であったとしてもきちんとした契約書は残すべきですし、何よりも翌年の確定申告時期には売買契約書の写しを税務署へ添付することとなりますので、事実上は売買契約書の作成は必須となります。たとえ関係の近い親族間であったとしても売買契約書といった書面の形で、きちんと契約内容を残すようにしましょう。
この後は、売買契約日を決めていただきます。この日に向けて必要書類の準備やお金の用意をしていただきますので、当事務所がお送りした「登記必要書類のご案内」を見ながら、売主と買主のそれぞれに書類の準備をしてもらいます。具体的なものとしては、不動産の権利証・印鑑証明書・住民票などが必要になります。
④売買契約締結(売買契約の締結及び残金決済当日。)
売主と買主のご都合のいい日程をお聞きしますので、その日に売主・買主・司法書士が一同に集まり、売買契約の締結を行います。場所は当事務所の会議室を利用しますが、ご要望があれば別の場所に出張することも可能です。
事前にご用意いただいた書類の原本をこの日に必ずご持参していただき、司法書士が書類の内容を確認したうえで、銀行へ移動をして買主から売主へ売買代金の振込みをしていただきます。これと同時に、売主は買主へ売買代金の領収書を手渡し、売買は無事に完了となります。
そして、司法書士が権利証等の登記書類を持って管轄法務局へ出向き登記申請を行います。
⑤完了(登記申請から2~3週間で新しい権利証を送付して完了。)
法務局の混み具合にもよりますが、登記申請からおよそ2~3週間程度で登記申請が完了しますので、買主には新しい権利証(登記識別情報)をご郵送でお送りして業務が完了となります(売主には古い権利証等をお送りします。)。
目安として全体的に1ヶ月~1ヶ月半前後で業務が完了することになります。
※税務申告について
不動産取引を行えば当然税務申告が必要となります。売主に譲渡益が発生すれば譲渡所得税、買主にも不動産取得税がかかってくることもあります。翌年の確定申告が不安であれば当事務所から税理士のご紹介をすることが可能ですが、そこまで難しいものではないのでご自身でやっていただければ問題ないと思います。